間違い
何かをしようとか、そういうことは一切思い浮かばなかった。
ただ、自分はとんでもない所に来てしまったと、漠然と思っただけだった。
こんな所にいたら、私はますます自分を閉ざし、どんどん収縮し、消えてしまうだろう。
かといって、どこかへ行く気はない…いつもそうだった。私が求めているような場所は、初めから存在しないのだろう…探しもせずに言ってしまうのは簡単だが。
だから私は、そもそもが間違いだったのだ、と思ってしまうのだった。初めから存在さえしなければよかったと。
さしあたり、逃げ場もない。いったい何から逃げるというのだろう。
私は持っている能力の割に賢すぎたのだろう…考えることはできても何もしない。現状を変える努力どころか維持する努力さえも。
そんなことして何になる、と思ってしまうのだ。ここから出て行けはしないのだ。
結局のところ、愚か者と変わりはない。